企業再建の事例1 : 放漫経営による債務超過
状況
- 社長の放漫経営により債務超過に陥る。
- 大口得意先があり、売上げは安定している。
解決
別会社を設立し業務を引き継ぐ。
X社は創業25年を迎える企業で、創業者である代表取締役A氏のワンマン経営でやってきました。
資本金3千万円、従業員30名で、売上高は8億円ほどで安定しています。創業当時は、新技術導入などもあり粗利益率も高かったのですが、この数年は粗利益率の低下が続き、さらにA氏の長年の放漫経営が改まらず、債務超過の状態が続いていました。A氏も会社の連帯保証債務を含めると1億円を超える債務額となり、破産状態に陥っています。ただし、X社自体は創業当時からの大口の得意先が6社あり、これらの顧客とは長年の営業努力もあり好関係で売上げも安定しており、これからの受注も望めます。
こんな状況のなか、資金繰りに窮した経理担当取締役B氏が相談にみえました。B氏としては、従業員の生活を考えてなんとか事業を継続する方法を模索したいということでした。
会社の現況を聞き取った結果、次のことがわかりました。
- 無駄な出費を抑えれば営業利益段階では黒字が見込めること。
- 得意先の大半から、仕事の質が落ちなければ、組織が変わっても仕事をもらえる可能性が高いこと。
- 従業員の多くが今の仕事をつづける希望が強いこと。
そこで次の提案をしました。
- 新たに会社を興し(Y社)今後の仕事はY社で行う。
ただし、運転資金等でX社と関係のないスポンサーを探す必要がある。 - X社については不要な資材の処分、必須ではない支社の閉鎖等を行う。
- Y社が軌道に乗るのを見計らってX社およびA氏の自己破産手続きを行う。
A氏を含めて再度打ち合わせを行った結果、スポンサーは取引先の社長が引き受けてくれることになり、A氏も条件に同意しました。
Y社の設立、得意先への根回し、従業員の解雇手続き等の処理を行い、Y社は営業を開始しました。X社の従業員はY社に移転しました。
なお、A氏はその後、自己破産手続きを躊躇し、X社およびA氏の破産手続きは行われていませんが、Y社の経営は順調です。
企業再建の事例2 : 株主からの会社解散要求
状況
- 経営者の急死とともに代表取締役が替わる。
- 代表者退任のあと、会社解散を迫られる。
- 経営は創業以来安定している。
解決
新会社を設立し得意先を引き継ぐ。
A氏は衣料品の製造・販売を主業務とするX社に勤めて30年になります。X社はA氏の大叔父にあたるB氏が創業したもので、従業員6人、年商9千万円ほどの家内工業的な小規模なものです。商品開発の技術力もあり、創業以来35年一貫して経営は順調でした。A氏はB氏に見込まれ、ここ数年は営業から現場まですべてA氏が管理し、事実上会社は彼で持っている状態でした。A氏は取締役にもなっていましたが株式(2千万円) は全株ともB氏の所有でした。
こうした状況でB氏が急死し、全株式の相続人となったB氏の弟(C氏)が代表取締役として会社に乗り込んできました。B氏は生前「会社をA氏に譲る」と公言していましたので、A氏に不満はありましたが、今までと同じように仕事ができればいいと割り切って考えることにしました。3年後、C氏は1億円を超える退職金を自ら得て退任し、A氏は代表取締役を押し付けられる結果となりました。それでもA氏は仕事ができればと自分を言い聞かせましたが、C氏はその後、会社を閉めるよう要求し、陰に陽に意地悪と口出しをするようになりました。ついに体調を崩し、困り果てたA氏が相談に来られました。
A氏の希望は、「会社に蓄積された資産はC氏のものでかまわないが、自分に今の仕事をさせて欲しい」というものでした。
そこで次のような提案をしました。
- A氏が新しい会社(Y社)を興し、そこで今までの仕事を続ける。
得意先は3社に絞られることから、事前に打診し協力の約束を取り付けたうえで発足させる。 - A氏主導の形をとるとC氏に妨害をされる可能性が残るため、Y社の代表者は信用のおける知人をたてる。
- C氏に対しては、彼の信用する第三者の協力も仰ぎ、会社の清算手続きを納得してもらう。
その後、Y社の代表者はA氏の姉が引き受けてくれ、C氏の説得と清算手続きはC氏とA氏の共通の知人である司法書士が引き受けてくれました。
Y社の設立も問題なく、従来の得意先の仕事もその殆どを引き継ぐことができたA氏は、体調も回復し、名実ともに自分のものとなった会社で生き生きと仕事をしています。







